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2008.08.20 Wednesday
世界戦争、珍獣キョトン、遺跡
テレビは世界戦争の始まりを告げていた。
しかしここは静かである。私は友人数人と郊外の小屋で酒を飲みかわしていた。
酒も肴も尽きたので私は女友達一人連れてスーパーに買い出しに出かける。
背の高い建物が途切れ、辺りを見晴らせる場所まで出た所で異様な物体を目にする。体長は6メートル程あるだろうか、身体はタヌキで顔は猿をボコボコに殴って真っ赤に腫れあがらせたみたいな獣が二本足で立っている。
私はこの獣を知っている。キョトンという名の珍獣で見かけは凶暴だが非常に臆病な動物で絶滅の危機にひんしている。見かけても無闇に近づいて驚かさないように、との貼り紙を見たことがある、と女友達に告げると、「うわぁ楽しそう、そばまで行ってみよう」と私の手をひっぱる。
キョトンの全身が見える所までくると、こちらの気配を察知したのかサッと姿をくらます。意外と動作は機敏らしい。私たちは一本裏の道まで走って追いかけるが完全に見失う。
私たちは諦めてスーパーへと向かう。
するとスーパーの手前で街路樹をムシヤムシャ食べているキョトンに出くわす。今度は気配を殺してそっと近づく。
でかい。この獣のどこら辺が臆病だというのだろうか。凶暴なオーラをプンプン全身から発散しているではないか。しかし女友達はへっちゃらな様子で正面まで近づいて写真なんぞを撮っている。やめなさい危ない。私は彼女の背後に隠れて早くこの場を離れようと催促する。まったく女というやつは恐ろしい。
スーパーの入口まで逃げてくると、横の空き地にピラミッドの遺跡の様なものが目にはいる。良く見るとそれは建設中のマンションであった。5000年入居開始予定と看板にある。あれ、今年は何年だったっけ…
私はいま信州木曽路にいる。妻の実家でひと夏の出稼ぎである。妻の両親は企業の保養所で管理人稼業に精を出しているのだ。
市川雷蔵が死の直前に出演した時代劇の舞台もここ木曽路だった。深い雪の中を確かな足取りで真っ直ぐに歩いていくラストシーンが印象に残っている。
もしいつか私が映画を撮ることがあるならばここ木曽を舞台に選ぶだろう。谷間の影に悲哀が潜んでいる。
今日は晴れた。川遊びだ。腰が痛い。
頑張ろ。
岩熊力也
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